「施設K」(デイジー)

12、13歳くらいの女の子
いつの日からか湖の小島の
施設に閉じ込められていた
目的は分からない
いつからか分からない
その施設では
朝、不思議な香りのアロマキャンドルの
中から1つ選ぶのが日課
41番のロッカーの鍵を渡され
幼女達が世話をしてくれる
その施設では
怪しく茂るシダ植物に
覆われている
おいしげる樹木
さわぐ草花
くるみを運ぶ男
ねむり猫が門番をする
ワニを狩る男達
どこから来てどこへ行くのか
分からない幼女達
部屋からぼんやりと窓の外を
眺めても湖しかうつらない
メランコリックな表情で オレンヂゼリーを
食べる
口と舌の快楽
テレパシーを送るものの
誰にも届かない
一生部屋に閉じ込められて
誰とも深く愛し合うこともない
やがて意識が朦朧としてくる
目を開けることができない
頭のなかで同じ風景が
次々流れてゆく
今はとある人と別れる
しかし後にまた出会うことになる
それはとても奇妙な形で
そう、とても奇妙な形で
そして、その女の子は
やがて数奇な病気にかかった
看護婦の幼女達が世話をする
薄れゆく意識で頭の中で
同じ景色が次々流れてゆくとき
そして、いずれ誰かと後に出会う
いずれは施設から出れる
いずれは?


フェスボルタ文藝部

”電話一本で誰でも出られるフェス”こと『フェスボルタ』から、部活を始めます。小説、エッセイ、評論、体験談、旅行記、戯曲、インタビューetc.みんなで文章書こうぜ。

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