ボカし犯し臆する(岡田靖幸)

 俺は一応ストーカーだけど、頼まれてるだけでずっと佐紀ちゃんて子を見ているだけで彼女の背丈、趣味なんかは勿論、交友関係、そして人を殺すとこも見ていた。

 時折どこか物陰にニッコリと微笑む彼女。そこには誰もいないけど、俺に向かって彼女は微笑んでいる。髪をかきあげることはしなくて、目にめっちゃ髪入ったまま、ちょっと狂人ぽさすら感じる感じで、包丁巧みにぶっ刺して、転がったもう死体は彼女の親友の裕子。茶目っ気たっぷりに舌を出しているようにも思えるが、確かに死んでいて、ハッピッピな感情ってか感情は最早多分エンドです。

 この前の日曜日、ありきたりだけど公園に呼び出された俺は、ドキドキしていて、相手はあの佐紀ちゃんだし、これからの一転ビビッドな日々を思っていた。背後から彼女が声をかけた時もそう思ってたけど、よく見ると血ドロドロついた包丁片手に今ではよく見るようになったあの狂人ぽさ云々の顔つーか目だったから、すぐ殺されるぞ〜ってもう遅いと思ったけど。彼女は包丁を刺す、地面に。
「私…いや、あんたに頼みがある。断ったら…いや、マジ頼みます」
そんなこんなのストーカー。
動画撮っといてーって渡されたビデカメでずっと撮ってる。理由。
「だって記憶はあるんだけど、だからってやっぱヤバいじゃん。でも私止まんねえし、じゃあ記録係兼私の代わりにこの業について考えてくれる人ーって考えて、いっつもジロジロ見てるあんたがフワッとね」

 でもどこかで役得狙ってるから、とりあえずパンチラ撮る為日夜彼女を撮って今んところ感謝されてるけど3週間も俺は保たないと思う。最近挨拶程度に包丁でツンツンやられるし、彼女意外と大胆なとこあるから。

フェスボルタ文藝部

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