昨日抱きしめた君からはセブンスターの臭いがした。君はタバコが嫌いだし僕もタバコを吸わないのに。不思議だね。面白いね。面白くなんかなかった。きっと君に臭いが染み付くぐらい、セブンスターと一緒にいたんだろう。嫌だなぁ。誰だよお前は。
喧嘩も増えたしすれ違うことばかりになったし君のことがそろそろ分からなくなっていた。最初からわかっちゃいなかったけど、もっとわからなくなったのだ。君のことを見すぎて、君しか見てなくて、苦しくなった。ななつ星。踏みにじる。
昨日抱きしめた君からはセブンスターの臭いがした。でも僕はそれを君には言わなかった。本当は言えなかった。言ってしまったらそれが2人に終わりを告げてしまいそうで。不安定な僕たちはタバコの臭いで壊れてしまう。あんな煙に壊されてしまう。腹がたつ。誰だよお前は。
原宿でデートしようよ。君の好きそうなお店がいっぱいあるんだ。君の笑顔が見たいんだ。渋谷に行こうよ池袋に行こうよ。上野に行こうよ中野に行こうよ。浅草に行こうよ六本木に行こうよ。もう東京の全部を君と見たいよ。いつものシャンプーの匂いのする君と。手を繋いで。たまにキスして。
今日抱きしめた君からはドライアイスと百合と「君」の匂いがした。今ストーブをつけるね。
ありがとうさよなら。僕ももうすぐ。
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