「眠れない夜へ」(高柳孝吉)

もう、あと2分で3時半になろうとしている。昨日観た女芸人が夢のようだ。クリスマスも近い夜半過ぎ。僕も一人だ。ベッドに横になり、そして向かったのは眠れない夜だった。                  

12月に入って間もないある日、一通のメールが来た。mixiという友達募集の掲示板を見ました、という内容。女性からだった。かなり夜遅くまでやり取りして寝た。いや、勿論一人で。それから不定期にメールのやり取りをしている。それは今でも続いている。内容は、他愛ないだらだらしたやり取り。そんな中に、情だって入る。向こうはどう思ってるんだろうか、ため口でけらけら無邪気に笑ってメールを返信してくる。向こうも寂しいのだろう。

もう4時が目の前に迫って来た。例のメールの彼女もさすがに寝ているだろう。mixiのメールを数行打って、送信をやめた。

そうだ、フェスボルタ文藝部に投稿しよう。すぐには誰も見てくれないだろうけど、明日の朝になれば。ー明日の朝になれば、誰か見てくれるというのか。そもそも、明日の朝は本当に来るのか。まさか。気のせいさ。だってある訳ないじゃないか、夜が明けないだなんて。このまま永遠に…。

邪念は払って文章を書こう。来る筈の明日を信じて。なに、明日になれば誰かこの文章を読んでくれる筈だ。そして笑って流してくれるだろう。それに決まっている。誰に向けて書くか。さだめし、こんなところか。ー眠れない夜へ。

フェスボルタ文藝部

”電話一本で誰でも出られるフェス”こと『フェスボルタ』から、部活を始めます。小説、エッセイ、評論、体験談、旅行記、戯曲、インタビューetc.みんなで文章書こうぜ。

0コメント

  • 1000 / 1000