「プレゼント用にしてください」(いぬ)

レジを打つ仕事をしている。

「ありがとうございます」
「こちらはご自宅用でよろしいですか」

機械的に口から出る言葉に、レジに並んだお客様は大抵こう返してくる。

「プレゼント用にしてください」

4年前に入社して間もなく、レジに立つことになったわたしはまずその言葉に違和感を抱いた。

ーー「プレゼント用」って、言いたいことはわかるけれど、日本語はそれで合っているの?

現在23歳。入社当時19歳。この頃からずうっと今に至るまでこの疑問はわたしの胸の中に渦巻いている。

「プレゼント用にしてください」はまだいい。もっと酷いのをたくさん聞いてきた。

「プレゼント用なんですけど」

ーーはあ。という気持ちである。なぜみなまで言わない?「あっ、じゃあラッピングしますね!」という気遣い待ちなのだろうか。雀の涙ほどのお給料で働くこちらにそんなこと期待しないでほしい。

「誕生日プレゼントです」

ーーこちらも先で述べたことと同様、「はあ…」という感想しか出ない。誕生日プレゼントだろうが、クリスマスプレゼントだろうが、包装が変わることなどはないし、必要のない情報だ。

「ラップしてください」

ーー惜しい!もうちょっとだったね!ラッピングが出てこなかったんだね!よちよち、次頑張ろう!

もっと酷いものもあったはずだけれど忘れてしまった。
この事例、わたしだけが違和感を覚えているのかというと、職場の人間が何人か同じことを言っていたので、わたしの感覚が大幅にズレているわけではなさそうだ。

(ただ、こういう小さなことでフラストレーションが溜まりやすい性格なのが、わたしが生きにくい理由なのだとは思う)

この文章を読んだ方が、もし共感してもらえたら嬉しいなと思うし、レジで「ご自宅用ですか?」と尋ねられたらぜひとも「ラッピングしてください」と返してくれることを願っている。

フェスボルタ文藝部

”電話一本で誰でも出られるフェス”こと『フェスボルタ』から、部活を始めます。小説、エッセイ、評論、体験談、旅行記、戯曲、インタビューetc.みんなで文章書こうぜ。

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